不動産コラム 3. 現地売り出し

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毎年、9月から12月の初旬にかけては、秋の不動産取得シーズンです。年内に契約し、新年は新居で迎えたい人たちが、活発に不動産探しをする季節でもあります。

道路沿いに、《現地売り出し》の案内看板が目立ちだすのも、この季節の特徴です。この案内看板の内容も、年々様変わりしています。以前は、案内看板に、売出現地という文字と、会社名、電話番号と矢印があったものですが、最近は、社名と電話番号はなしで、現地または売出現地、そして→だけの看板になってきました。

この看板を案内看板とか捨て看といますが、この看板は道路交通法違反で取締りの対象になります。ただ、現行犯逮捕なので、電柱につけている現場を発見されなければ、逮捕はされなかったようです。ようです、というのは、弊社では現地売出しをやらなくなってからもう10年以上たっているために、取締りの現状はわかりません。

ただ、道路沿いで、捨て看板や、案内看板を撤去している人達を見かけることがありますから、もし、電話番号や、会社名を書いたりすると、すぐ苦情の電話がかかってくるため、現地と矢印だけにしているのだと思います。

宅地建物取引業協会の中にも「自主規制委員会」という部会があり、時々、捨て看板等の写真を撮り、不動産公正取引協議会に告発する事もあるようです。弊社も開業して間もなく、物件情報を載せた捨て看板を出していて、誓約書を取られたことがあります。また、3年ぐらい前に約200物件ぐらいの帯情報を載せた新聞折込の「キャッチコピー」に少々過激な表現を使った結果、多分、同業の方に「公正取引協議会」に報告され、査問会に呼び出され、10万円の違反金を取られたことがあります。

不動産の広告は、商品そのものが高額であることもあり、規制のハードルがとても高いというのが現状なのです。

私がこの業界に入って、はじめて経験した《現地売り出し》は東京都日野市の日野台に建築中の新築テラスハウスの売り出し現場でした。その頃は、地球温暖化がまだ進行していない頃で、とても寒かったことを記憶していますが、何十年も前のことで、何月頃だったかは覚えていません。

建物はほぼ完成していましたが、残材などはかたずいてなく、ドラム缶で残材を燃やして暖を取ったものです。現地までの案内看板をつけたり、現地に受付の机を並べたりしながら、来場者を待つのは、辛いことでしたが、また、初めての経験でもあり、ちょっぴりの楽しさと、来場したお客様に、なんと言えばいいのだろうかという不安がない交ぜになった気持ちでした。

途中で、そのテラスハウスを建築した会社の専務と私が所属する会社の営業部長が来て、お寿司をご馳走してくれました。結局、その売り出しで、全部で6棟あったテラスハウスは全部申込が入り、私も2棟の申込を受けました。

しかし、最終的には、私が申込を受けたお客様は、どういうわけか全部キャンセルになってしまいました。住宅ローンが通らなかったお客様、テラスハウスは建物がくっついているため、将来の建て替えが難しいという理由等でした。

さて、《現地売り出し》は、それからも、数え切れないほど経験しましたが、さまざまな失敗談があります。案内看板の変わりに風船をつかったら、気温が上がったために風船が破裂して近所から苦情が来たり、今にも買いそうなお客様が書いた住所に訪問に行ったら大きな倉庫があったという事もありました。

先にも書きましたが、案内看板を付ける事は、東京都の美観条例違反と警察の道路交通法違反になりますので、現地売り出しを主に販売手段にしている不動産仲介会社の支店長などはよく豚箱に泊められるとぼやいていたのを聞いたことがあります。

さて、《現地販売》の方法は、新聞折込で詳細地図を入れて《現地売り出し》をする方法と、新聞折込は行わず、現地看板を道路の要所につけて、お客様を誘導する方法と、大手の建売業者がやる看板を持った人員を現地まで行く道路の要所に配置する方法の3種類があります。
新聞折り込み広告に詳細地図を入れても、案内看板はつけます。そして、案内看板だけをつけて、お客様を誘導するだけの方法を業界用語でゲリラといいます。ゲリラは、労働力だけで費用がかかりませんが、時には効果を発揮するという事です。

看板を手に持った人員を道路の要所に配置する方法は一人に付き1万円から2万円の人件費がかかります。人材派遣会社に頼んだ場合は2万円だと聞きましたが定かではありません。そこで、現地売出しを見に行く場合の注意事項を書いておきます。

新規現場の場合、売り出し価格は少々高めに設定してあるのが普通です。ですから、その場所が自分が探していた場所であり、とても気に入った場合は別として、《これだ》と飛びつくと高値づかみになるときがあります。

さらに、現地売り出しの場合、広告費も売主持ちの場合などは、現地売り出しをしている業者は全部とは言いませんが、どちらかといえば《売主側》の代理人である比重が高くなります。
したがって、価格交渉などはあまり効かないかも知れないという事を、考慮する必要があります。

次に、その現地が気に入らないのに、うっかり住所氏名と電話番号などを書くと、訪問や、電話攻勢が次に来ますから、慎重にします。また、つい、住所氏名、電話番号を書いたために、毎週、電話や訪問に悩まされた場合は《もう買いましたから》というのが究極の断りトークですから覚えておきましょう。

とにかく、不動産というものは、よほどのお金持ちでない限り、一生に何度もするものではありませんから、くれぐれも安全運転を心がけましょう。

弊社では、登録したお客様に、自分で現地を自由に見ていただくため、毎月、小平市、国分寺市、東大和市の現在流通している全不動産を記載した不動産情報誌をお送りしています。そして、ご希望の方には、毎週の速報も郵送していますのでお問い合わせ下さい。

また、当社では、原則として、無断電話をかけたり、訪問をしたりはお客様が希望するとき以外、やっておりません。また、不動産探しは信頼関係が一番大切なので、こちらから、お問い合わせを受けてもお断りする場合があります。


詳しくは、購入不動産情報誌「マイホーム応援団」のページをご覧下さい。

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