不動産コラム 4. む物件と価格査定

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現在地で不動産業を開業する前、青梅線沿線の東中神駅のロータリーに面した2階店舗で雇われ社長をしていたことがあります。私自身は自前で独立したのかと考えていたのですが、会社はただではできませんから、単に私の勘違いであって、真実は雇われていたということだったのです。

当初、昭島駅のロータリーの1階店舗が開いていて、そこをスポンサーと一緒に借りにいったのですが、スポンサーの持っていた会社が【○○興行】という会社名であったために、曰く付の会社と誤解されてしまい貸してもらえませんでした。

振り返ってみれば、私にとっては、借りられなくてよかったと思います。同じロータリーの中でも2階の店舗と1階の店舗では、集客のひとつ取り上げても雲泥の差があります。1階の店舗だったら中途半端に業績が上がってしまい、抜けるに抜けられなくなっていたかも知れません。

社員は一人を除いて、全員スポンサーのマージャン仲間という構成で、不動産経験者は私だけというスタートですから、先は知れていました。勝手に社員を送り込んでくるは、広告やが影で告げ口をするやら、あとで気がついたのですが、社員は私の言うことを、逐一スポンサーにほうこくしていたという始末です。

結局、ひとつの出来事が引き金になり、私はスポンサーにやめたいと告げましたが、なんだかんだと文句を言うので、同級生の弁護士に相談して退任届けを出し、あるおまじないをして、何の責めも負わずにやめることができました。

その会社で、不動産のフランチャイズである「住通チェーン」に入会しましたが、10人中8人ぐらいまでのお客様がジュウツウチェーンとは読まず、スミツウチェーンと読み、住友不動産の関連会社という認識でしかありませんでした。

さて、今回のテーマである「求む物件と価格査定」についてですが、住通チェーンの売買仲介戦略の中枢が「専任を制するものが市場を制する」というものだったのです。【専任を制する】ということは、売却物件の媒介契約をいただくという事で、まさに「求む物件」そのものなのです。

売りの専任依頼を受けるということは仲介営業の仕入れになります。売り物件を専任で持っていれば、あとは物件価格と市場の相場が近づけは゛、必ず売却になり、物件価格の3.15%と6万円がいただけることになります。

不動産の売買仲介業というものは、売上の見込が立たない業種です。今月、2000万円の仲介手数料を計上したからといって、来月も同じ2000万円の売上をあげられるという保障はありません。

したがって、売却物件の委任をいかに確保するかが、売買仲介業の売上見込をたてるためのもっとも大事な戦略なわけです。しかし、頼むほうはどうしても大手の不動産会社のほうが安心感がありますから、大手業者の専任物件が多くなってしまいます。

今、私の目の前に一枚の「求むチラシ」があります。タイトルは「求めています 売却不動産」で、■土地40坪~50坪 「津田町」が第一希望。■土地100~120坪自宅兼アパート用地。 ■「鷹の台」駅徒歩10分圏内300坪。■築10年以内の一戸建て。

と、いう内容で、他に予算と条件がかいてあります。はたして、以上の条件を満たす物件があるかどうかは疑問です。しかし、中小は一年に一枚もチラシを入れていないのに、大手業者はほとんど毎日といっていい感覚で、新聞折込、配布チラシと入れますから、勝敗の帰趨は明らかです。

そして、査定価格についてですが、これは、どこの会社が査定しても大同小異です。とどのつまりは、価格がこなれなければ売れません。しかし、価格をこなすにしても、委任を受けなければ、こなす以前の問題です。

委任を取れば、最近では図面配布業者に委任を受けた物件の配布を頼む業者は本当に少なくなってしまいました。まず、東日本不動産流通機構「通称レインズ」に登録し、あとは自社のホームページに掲載して、購入者の問合せを待つか、新聞折込広告をします。

そこで、問い合わせるほうは、何時ごろ公開した物件かを聞くようにします。まだ出たばかりだったら、まだ価格がこなれていないと考えます。大体、売りの委任を受ける場合は、売れる価格よりも高めの査定をするのが、ほとんどの業者のやり方です。

正直に査定したところで、売るほうは少しでも高く売りたいと考えていますから、少しでも高く査定した業者に頼むものなのです。あとは、昔からの知り合いとか、何らかの縁があって、売り物件が市場に出てくるわけです。

買うほうは少しでも、安く買いたい、売るほうは少しでも高く売りたい、いずれにしても、よほどのことが無い限りジカ取引は難しいのですから、売るにしても、買うにしても信頼できて、自分と相性のいい営業社員や不動産業者を選ぶことです。

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