不動産コラム 8.地元の不動産会社

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私が不動産会社に入社したのは昭和55年の9月の中旬ですから、今年で28年目になります。最初の会社には昭和61年まで、61年途中から一社を経て、その一社が設立した会社の雇われ社長を平成2年の10月頃までやりました。

雇われ社長を引き受けた会社は資本金が100万円の会社で、私も資本参加しました。当初、資本参加をしていた関係で「雇われ社長」という意識は全くありませんでしたが、途中から「何の権力もない」立場であることに気づきました。

紆余曲折の後、現在の店舗を借りる前に、ある人の紹介で神田にあった自称「天界大明神」という生き神様に、その当時の友人と二人で訪ねていき「自分の住所から東の方向で事務所を借りなさい」とのご託宣を受けました。

東といっても自宅から東45度の先は千葉県の龍ヶ崎あたりになり、そんなに遠くにはいけませんので、20代の頃に住んでいた鷹の台駅周辺で現在の事務所を借り、会社を設立したのが平成2年12月19日です。

この年月日は庚午一白年、戊子七赤月、戊午六白日で十二支の財星である午が二つと子が一つ。さらに九星の財星である一白と六白をあわせて合計五つ財星が付きます。前月の11月に設立できれば財星六つのパーフェクトだったのですが、そうはうまくいきませんでした。

会社の設立日は人間で言えば誕生日にあたりますから、会社の誕生日を財星五つに設定した事が、今まで会社が存続した要因の一つなるかもしれません。

とはいうものの、不動産業に限らず、これまで経験した事のない変化の波が押し寄せ、誰も彼もが四苦八苦しているのが現状です。不動産業界でも、2年ほど前、23区を中心に不動産価格が上昇し、ミニバブル状況になりましたが、去年の夏頃から沈静化し、価格の調整が始まっています。

新築の一戸建て、新築のマンションなどは完成後もなかなか売れず、度重なる値下げでも売れないという声が聞こえています。中古住宅、中戸マンションの価格は下げ止まっていませんし、地域的な問題はありますが、基本的には価格が上昇する事はないという前提で、不動産の売却を考える必要があります。

特に、最近の傾向として、すべての業界で大手の寡占化が進んでいます。特に、不動産の売却については大手不動産仲介業者の市場占有率は90%ほどでしょうか。しかし、よく考えてみればわかることなのですが、不動産に限らず、価格が適正でなければ、売れないのであります。

たとえ大手だろうが、中小だろうが、町の小さい不動産会社であろうが、坪100万しか価値のない土地を200万円で売ることは出来ません。また、大手に頼めば早く売れるというのも思い込みに過ぎません。

例えば、たかの台で中古住宅を探している鹿児島県の方がいたとします。現在では、インターネットで探す事も出来ます。しかし、たいていの場合、その方は自分の知り合いや、親戚で、たかの台近辺に住んでいる人を探しアンテナになってもらいます。

日用品と違い、高額な不動産ともなれば、信頼できる人の紹介が前提になります。現地を見て、環境を調べ、夜に見て、昼に観察し、慎重の上にも慎重に調べる必要があります。したがってネットで見て気にいったから契約という事は賃貸は別として売買ではありえません。

日用品でも、当社で中古のパソコンをネットで買った時、価格は三万円、ソフトはオフィスが付いているという事で購入したのですが、現物が到着し、立ち上げてみたところ、オフィスはオフィスでもキングソフトのオフィスだったのです。

ワードとエクセルが入っていましたが、ソックリさんで、機能面ではかなり省略されたもので、当社では使い物になりませんでした。そこで、サービス期限の切れた、マイクロソフトのワードとエクセルをいれて使っています。もっとも、余計なソフトは一切入っていませんので、とても軽く動くという利点もあります。

それでも、現物を見た時には、手にとって見ずに買うことには価格以上のリスクが付きまとうことが身に沁みました。

さらに、飛躍しますが、不動産の売却も購入も、まず皆様の身近にある、地元の不動産会社の利用を再検討されては如何でしょうか。地元で営業していて、自分で経営していれば、逃げも隠れも出来ないのが地元の不動産会社なのですから。